Q&A

よくある質問

Q1. 小児科は何歳まで?

病院などでは、15歳未満を小児科としている所が多いようです。
一応、薬剤の添付文書などで『小児』というと15歳未満を指すことになっております。
しかし、現状では本人、家族が希望すれば何歳でも小児科に受診していただければ結構です。慢性疾患を持っておられる方などは、途中で内科に変わるより信頼関係の出来上がっている先生で診てもらいたいと思われる方も大勢いらっしゃいます。
私見ですが、身体の成長途上はもちろん、精神的にも成人するまでは小児科にかかったほうが得られる情報は多いと思います。特に思春期の疾患などは小児科のほうが得意にしているものも多くあります。

Q2. 小児科でケガ(外傷)や頭部打撲は診てもらえるの?

縫う(縫合)必要があるケガ(外傷)や骨折の疑いのある場合は、外科や整形外科を受診されることをおすすめいたします。頭部打撲に関しては難しいのですが、どうしても頭蓋内出血が心配であればCTなどの検査が必要ですので、総合病院を受診されることをおすすめします。
とりあえず小児科でということでも構いません。頭部打撲後、24時間たっても痙攣や意識障害、嘔吐などの症状が出現しない場合は、非常に高い確率で問題ないことが多いです。まれに時間がたってから症状が出ることがありますので、相談してください。

Q3. 最近鼻水が止まりませんが花粉症でしょうか?

花粉症とは、花粉(スギ、ヒノキ、その他の雑草など)が原因で起こるアレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎などのアレルギー症状の総称です。花粉症と診断するには、季節変動やアレルギー検査などを参考に判断することが多いです。
最近では、低年齢化も進んでおり、私の経験では2歳でスギ花粉症と思われる症例があります。
以前は小学校高学年くらいからと言っていましたが、そうともいえない状況になってきました。カゼの鼻水か、アレルギーか判断しにくい場合は相談してください。

Q4. もらったお薬は全部飲み切ったほうがいいの?

お薬を考える時に、大きく2通りに分かれます。
ひとつは、症状を和らげるお薬(対症療法)、もうひとつは原因を抑えたり、ひどくならないように予防コントロールするお薬です。
対症療法のお薬の代表は、風邪薬(咳や鼻水の薬)や下痢の時の整腸剤などです。これらは、症状を抑えるだけで元の病気を治す力はありませんので、症状が治まったら途中でやめてもいいと思われます。
治療薬の例は、インフルエンザのお薬や溶連菌感染症に対する抗生物質、てんかんや喘息などのコントロールのお薬などです。これらは、医師の指示を充分守って指示通り服薬してください。
ただし、ケースバイケースですので、必ず自分で判断せずできれば医師に相談してくださいね。

発熱時の対処法

Q1. 発熱とは?

ウイルスや細菌などの侵入にともない、戦う力(免疫力、自然治癒力)を高めるために人間自身が体温を上昇させた状態です。『熱が出ている』とは、咳が出る、鼻が出るという症状と同等であり、発熱自体が問題ではなく、発熱をもたらしている原因が問題です。熱の高さと病気の重症度は比例しません。脳炎や髄膜炎など脳に原因のある病気や炎天下の車内放置による熱中症など以外は、発熱が脳に影響することはありません。

ただし、5歳未満の子どもさんでは、15~20人に1人の割合で熱性ケイレン(熱によるひきつけ)を起こす場合がありますので注意が必要と思われます。

Q2. 対処法は?

発熱時はとにかく冷やすことが重要です。
頭部、頚部、わきの下、ソケイ部(股の付け根)など比較的太い動脈が皮膚近くを走っているところ(脈の触れるところ)を冷やすことが効果的です。アイスノンや氷が理想的です。いわゆる熱さましシートの効果はあまりないかと思われます。

暖めて、汗を出させて熱を下げると言う考え方は間違いです。
逆に熱を上昇させたり、脱水を引き起こすことがありますので注意しましょう。

Q3. 坐薬など解熱剤の使い方は?

熱のため機嫌が悪く寝付けない、水分や食事が充分取れないなどの場合は、坐薬などの解熱剤を使用してもOKです。小児科で処方する解熱剤は『アセトアミノフェン』という成分で、安全性が高いものです。インフルエンザの場合でも使用が認められています。ただ安全性が高い分、効果が不十分で充分解熱しきらない場合があります。一度程度解熱すれば(39度台の熱が38度台になれば)効果ありと考えてください。水分補給が充分でない場合も解熱効果が悪い場合がありますので、水分補給も同時に行ってください。

しかし、解熱剤はあくまで体力温存のため一時的に熱を下げるだけのものです。病気を治すものではありませんので、病気が治まらない限り必ず再度上昇してきますし、再上昇時の悪寒(ふるえ)を誘発することにもなります。また、熱が高いと言う理由だけで解熱剤を使い続けますと、免疫力や自然治癒力を低下させることもあります。機嫌が比較的良く、水分などがそこそこ取れている場合は使用せずに様子を見るほうが良いと思われます。

ただし、熱性ケイレンの既往のある方は注意してください。繰り返し熱性ケイレンを起こしている子どもさんには抗ケイレン薬の坐薬による予防法がありますので相談してください。

インフルエンザワクチン

Q1. インフルエンザワクチンの効果は?

年齢によって異なります。一般に年齢が高くなるほど効果は高いと考えられます(成人で70%以上と言われています)。
1歳未満(6ヶ月以上)の赤ちゃんではほとんど効果はないと思われます。ですから、赤ちゃんのいるご家庭では、ご両親やご兄弟など周りの方が接種して家族内にできるだけ持ち込まないようにするのが良いでしょう。
幼児での有効率は、30~50%程度と言われています。しかし、幼児(1~6歳程度)では『インフルエンザ脳症』という非常に重篤な合併症があります。ワクチン接種患者の脳症罹患率は、非接種者より低いとされており、充分接種する意味はあると思われます。

Q2. インフルエンザワクチンの種類は?

インフルエンザワクチンにはA型が2種類、B型が1種類混合して含まれています。
毎年、WHO(世界保健機構)が発表する流行予測株に基づき、日本でワクチン株を選定、決定しております。
したがって、日本全国どこで接種しても、どこのメーカーのワクチンを接種してもほぼ同等と考えられます。

Q3. ワクチンを接種したのにインフルエンザにかかることは?

前述のように、年齢が低ければ有効率も低く、接種したのに充分な予防効果がない場合があります。
また、先のシーズンのように流行の時期が遅くなった場合(1~2月にB型、3~4月にA型が流行しました)、11月、12月に接種したワクチンの効果が切れてしまう可能性もあり、ワクチン接種したのに罹患するケースが増加すると考えられます。

Q4. ワクチン接種は何回が適当?

13歳未満の方は、1~4週(2~3週がbetter)の間隔で2回接種していただきます。
また、成人を含む13歳以上の方は1回接種が原則です。13歳未満の小児で毎年接種していれば1回で良いのかどうかをはっきり示した証拠がありません。
不活化ワクチンですので、回数を接種したほうが有効率は上がると考えられます。また、インフルエンザウイルスは非常に変異の速度が速いウイルスですので、流行の型が変わることが多いことから、毎年複数回接種するのが小児に対しては良いと考えます。

Q5. 卵アレルギーの人は受けられない?

インフルエンザワクチンは、有精卵を使用して製造しており、精製の過程でごく微量の卵成分が混入している可能性があります。卵アレルギーの程度の強い方は、注射によって急なアレルギー反応など引き起こす可能性がありますので、医師と相談の上、接種するかどうかを判断してください。